2008年1月 3日アーカイブ

チゼータV16T去年はハンバーガーといい牛丼といい、「メガ」と呼ばれるものが流行った。要するに中身を倍増したものなわけなのだが。これらに共通するのは「一回食べると満足だが一回で充分」ってことである。

ランボルギーニ・ウラッコという車がある。1970年のモーターショーでデビューしたが、その頃アメリカではポルシェの911が売れに売れて、そのおこぼれをフェラーリ・ディノが貪り食っていた時代なものだから、発売を控えていたら、やがてポルシェはカレラRSを発表するわ、フェラーリは308GT4を発表するわで、市場に食い込むチャンスが一向に訪れず、しびれを切らして73年に発表したはいいが、タイミングを逃したためさっぱり売れなかった車である。

もっともその時代はミウラがそこそこ売れていたし、カウンタックもデビュー間近だったので、あまり気にしていなかったのかもしれない。この両車がなくともあまり気にしてなかったかもしれないが。のんきで尻軽な会社だし。

ちょうどウラッコが発売になる時期までランボルギーニにいたクラウディオ・ザンポーリという人が、ランボルギーニから独立後約10年近くアメリカでディーラーとしてのし上がっていく過程で出会ったのは、同じくイタリア人であり当時ドナ・サマーを始めとするディスコミュージック全盛期を作り出した「ディスコ成金」ジョルジオ・モロダーだった。

チゼータV16T

この二人が一緒になって作った会社がチゼータ(正式名称チゼータ・モロダーSRL)である。チゼータとは(Claudio Zampolli)の頭文字C.Zをイタリア読みにしたもので、モロダーは出資者という形になったらしい。まあアメリカで成功したイタリア人同士が事業を起こすというと何となく「ゴッドファーザー」みたいな「血の盟約」とも言うべき絆を連想するが、この二人にそんなものがあったのかどうかは不明である。特にモロダーには。

チゼータV16T
 二人の共同の目的は「誰も見たことのないスーパーカーを作ろう」と言うことで、まずデザインをマルチェロ・ガンディーニに依頼する。はい、ランボルギーニ人脈ですね。そしてエンジンをランボルギーニ・ウラッコのたぶん不良在庫になってたんじゃないかってエンジンを調達する。とことんランボルギーニである。いいんだけどさ。

チゼータV16T
チゼータはこのウラッコの3リッターV8エンジンを二個つなげて6リッター16気筒にしてしまった。しかもそのエンジンは横置きである。そりゃ誰も見たことないわ。まさしくメガ牛丼の発想である。

チューブラーフレームにそのメガランボルギーニV16気筒エンジンを載せオールアルミ製のボディで武装させたのがこのチゼータV16Tである。

全長4.443mm全幅2.060mm全高1.260mmというサイズは、ちょうど2トントラックを縦に押し潰したようなもんだろうか。その代わり車重はアルミボディが功を奏し1.6トンと10分の1以下である。

チゼータV16T
1989年にモーターショーでデビューしたV16Tは、BOSEのスピーカーを装備したオーディオにフルレザーのインテリアという高級志向の車に仕上がっていた。このフルレザーっていうのが時代だなあ、と思う。今だったらフルカーボンってとこだろうか。

ミッションは5速MTで、568ps/55.0kgmというアメ車っぽいパワーとトルクのバランスのとり方である。キャリパーはブレンボ製なそうだが、たぶんそれでも曲がらないだろうし止まらない車なんじゃないだろうか。

このチゼータV16Tは1台60万ドルで1992年から販売が始まったが、92年というと日本でバブルがはじけた直後である。フェラーリF40に2億円出してた連中がすでに大恐慌に陥っていたものだから、とりあえず日本には2台しか入って来なかった。僕はその1台を見たことがあるのだが、車というよりは陸に上がった船って感じだった。河口湖自動車博物館に保存されている1台は赤だったので、僕が見たのは白だったから本当に2台しか入って来なかったんだろうなあ。

チゼータV16T
ちなみにこのVT16Tを15台だけ生産したあとチゼータは倒産。現在あるチゼータ・オートモービルUSAとの関係は不明である。VT16Tをデザインしたマルチェロ・ガンディーニは、この後V16Tに酷似した車、ランボルギーニ・ディアブロを発表して大ヒットを記録する。最後に笑ったのはガンディーニだけだったというのがメガランボルギーニの顛末なのだ。くわばらくわばら

このアーカイブについて

このページには、2008年1月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2007年12月29日です。

次のアーカイブは2008年1月17日です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.01