2009年4月17日アーカイブ

かつて僕がさる会社にいたとき、まだF430はスクープ写真の段階で、会社の工場に入庫しているフェラーリで一番多かったのは360モデナ、F355、あとはテスタロッサで、512BBは1台しかなかった。だから僕の512BBインプレッションは、たった一台の北米仕様512BBだけが根拠になっている。個体としてコンディションは中くらいだったらしいのだが、だとしたら上物の512BBはどんなにすごいんだろうと思うくらいに、実は「そう悪くない個体」に出会っていたのだ。

フェラーリ512BB
BBのフロントターンレンズは、イタリア国内仕様のみが白で、輸出仕様車は道交法の絡みで全部オレンジである。言われてみりゃ確かにそうだ。白はバックランプだもんな。この辺の適当さがイタリアなわけだが。

フェラーリ512BB

512BBは前半はキャブで、後半はインジェクションになった。僕が乗ったのはキャブで、ここでも書いたが3000~4000回転に、止まるんじゃないかと思うくらいにすごい谷があって、そこから爆発的なトルクが発生した。ギアは2速と3速が入りにくく、特に3速はGT-Rみたいな感覚で入れると跳ね返されるくらいだった。

だから正しい3速の入れ方は、2速からニュートラルに入れて一瞬間を置いて、がっちゃん!とねじ込むのである。ただでさえ生意気なフェラーリ相手に力任せっていうと、仕返しにぶっ壊れられて泣きを見そうだが、これはメカニックにはっきり言われたことである。「正確に、叩き込むように」と。

フェラーリ512BBケーニッヒスペシャル
365BBから多少パワーを落としてまでトルク重視にしたためか、ずどーんとトルクが来るこの512BBは80年代にはこういう情け容赦ない改造を施される個体が多く出回ることになる。ドイツのケーニッヒスペシャルズが有名だが、これらのオーナーはアメリカに多かったという。ようするに今までコルベットとか乗っててカウボーイハットかぶってコーラ飲んでそうなアメリカ人たちに愛されたのだ。

フェラーリ512BBケーニッヒスペシャルズ
ただし、エクステリアは大雑把だがハンドリングは繊細そのものの512BBに、こんな車幅を変えてしまうようなチューニングは、完全にレースオンリーならともかく、ロードカーとしては冷や汗かきそうな車になってしまったんだろうなあと思うのだが。

フェラーリ512BB
それでもこうしてみる512BBの美しさたるや、デイトナの神がかり的なそれと双璧をなすものである。やっぱりこういう車を持つ人っていうのは、その美しさとヒステリックなまでの走りの過激さに魅せられた「車に使役する者」でなくちゃいけないんだろうなと思う。それこそこの車を潰したら自分ももう車運転するのをやめるくらいの忠誠心を持つくらいの。

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